技術教育研究会・活動方針
1970.8.7 決定
1973.8.8 一部改正
1991.8.2 改訂
工作、技術、職業、労働の教育は、子ども・青年が人間として豊かに発達するために、不可欠で本質的な要素であると、私たちは考えます。このため、小・中・高一貫した技術教育をすべての子ども・青年に保障することを強く主張します。
また、青年が自らの職業を選びとり、職業的に自立していくことが青年期教育の大切な課題であると考えます。そのため、技術教育や職業教育を公的に保障することを強く主張します。
私たちは、子ども・青年の現状を深くとらえ、彼らの発達と工作、技術、職業、労働の教育との具体的関連を研究し、実践を日々進めます。また、こうした問題意識をもつすべての人々とともに運動を前進させます。
【1】 子どもたちに、手を使い、ものを作る楽しさを豊かに体験させたいと願い、小学校の工作教育を技術教育としてもっと豊かに充実させたいと考えます。私たちはそのための諸問題を研究します。
【2】 中学校の技術科は、生産技術の基礎を教授する教科であることがますますあいまいにされています。男女すべての中学生に生産技術に関する知識および技能の基本を学びとらせ、人類が発展させてきた技術のすばらしさやその社会的性格を正しくみられる技術観を育てるための、理論と実践の方向を明らかにすることに努めます。
【3】 男女すべての高校生に技術教育と職業教育を保障する必要があります。中学校の技術科に連なる高校における普通教育としての技術教育の研究を進めます。また、これまで生産技術に関わる多くの有為な人材を育ててきた高校職業教育を充実・発展させるための研究と運動に努めます。
【4】 高等専門学校、専修学校、職業訓練校などにおける技術教育・職業教育のあり方は重要な諸問題を含んでいます。企業内教育、高専および高校後段階での技術教育・職業教育の現状を明らかにし、これを民主主義的に発展させるための諸問題の研究に努めます。【5】 障害児・者の技術教育・職業教育の充実に重大な関心を払います。私たちは、障害児・者の生存権、学習権を真に充足するために、ゆきとどいた普通教育や医療を土台とした技術教育・職業教育の内容と諸条件の充実・改善のために研究と運動を進めます。
【6】 私たちは、諸外国の技術教育や職業教育・訓練に関する情報を、ひろく収集・紹介することに努めます。その研究を通して、わが国の技術教育や職業教育・訓練の民主主義的発展に努めます。
【7】 技術教育や職業教育をすすめる上で施設設備の充実は欠くことのできない条件です。とりわけ技術科は劣悪な条件を余儀なくされています。実習などでは、生徒たちの危険をともなう場面があります。安全の問題をいっそう科学的に研究し、また施設設備の充実、教師の労働条件の改善のための理論と実践を追求します。
【8】 私たちは、工作教育、技術教育、職業教育の教員養成の充実に重大な関心をはらいます。小学校の工作教育や高校職業教育の教員養成は制度的にも確立していません。これら教員養成教育の内容の充実のための研究を進めます。
【9】 私たちは、以上の諸課題を達成するために、日夜まじめに技術教育・職業教育にとりくんでいる教師やこうした問題に関心をもつ研究者・父母・学生などの力の結集に努めます。また、そのためにも技術教育研究会の組織の拡大・強化および会報『技術と教育』と会誌『技術教育研究』の普及に努めます。